「”守るべき人がいる”講演者 参議院議員 佐藤正久氏」の記録

佐藤正久氏2国民を守る、自分の身近な人を守るという命題について、自らが指揮官としてイラクでの第1次復興業務支援隊長という重責を完遂された体験から、リーダーの決断の重要さ、東北被災地での状況、我国を取り巻く状況について具体的な話と、政治家としての熱い思いを語っていただきました。以下はその要約。

現地で活動された民間企業の先人達が献身的に貢献された功績によって現地では日本人に対する信頼感が今もしっかり根付いていた。日本人にお礼を云いたいと200kmの距離を歩いて我々に会いに来られた人、危険な状況に遭遇しそうになると親身になって支えてくれた多くの人々など、この日本人への厚い信頼感によって無事に活動を全うすることができた。このような先人の姿を日本人、とくに若い人たちにつないでほしいと思う。 最近我国をとりまく状況は、平和な社会の維持を脅かす様々な出来事が生じている。日本の国民を守る最高指揮官は内閣総理大臣であり、現内閣においても国民を守るために指揮官としてぶれずに毅然と決断し、強いリーダーシップを発揮しているが、決断を下すためには正しい情報の収集が欠かせない。しかし、このような情報はどの国にとっても機密情報であり、他国とのギブ&テイクに呼応できる組織体制、そして 『渡した情報が決して部外に漏れない』と担保し、これを相手の国から認められる仕組みがなければ絶対に情報は入ってこない。

残念ながら現状の日本はこの面できわめて不十分であり、早急に法整備することが政治の喫緊の重要課題である。 国会で関連の法整備について各党の論戦が交わされているが、政府が憲法9条の解釈を出した42年前と現在とでは世界の情勢は大きく変わってきているなかで、いざという事態が生じても常任理事国の思惑が支配する国連が助けてくれるというのは期待できず、日本を守るという法整備がそのままで良いはずがない。

「日本を守る」という重要な問題に関して政治家はもっと緊迫感を持たねばならないが、国民すべても自国、自身を守ることを真剣に考えていかねばならない。法律名も内容に即したネーミングでないから分かりにくい。 また、自衛隊、警察、消防、役所の公務員について、福島の大津波の折、最後までマイクを離さず警戒放送を続けて亡くなられた市役所の女性の職員を称えながら、公務員は危機に際して国民を守る仕事を担っているという役割を果たすことは当然だが、国民一人一人も「隣にドロボーが入っても自分の所は大丈夫」というあまい考えは捨てるべきだ。 日本の領土面積は世界で60番目、しかし、排他的経済水域は世界で6番目であり、先人から受け継いだこの領土はしっかり備えて守っていかなければならない。

自衛隊は日々過酷な訓練によって重責を遂行しているが、しかし、領土を守るのは自衛隊だけでは無理で、世界から高い評価を得ている民間の技術力を育成・活用することも大事だ。自衛隊が戦をしなくても自国を守れるような環境を外交で整えることは当然だが、万一の場合の抑止力は備えておかなければならない。

抑止力とは、相手に手出しするとそれ以上の反撃を覚悟しなければならず、手出しする意欲を削ぐことで、1国よりも複数の国が共同してお互いを守りあうことが有効であることはもちろんである。東北の津波被害地の病院で「入院されていた全員を救えず、そのなかの1人のおばあさんが流されていくベッドの上から屋上の私達に“ありがとうございます”と手を振りながら波の中に消えた姿が忘れられない。」と鬼気迫る形相で死に物狂いで頑張っておられる院長の姿に、これこそが命を懸けることだ、と涙した。このような混乱な状況では自衛隊や警察、消防の救援が届くまでは、国民の個々が「守るべき人を守る」覚悟が必要だ。備えあれば憂いなしのことわざが、憂いなければ備えなしにならないよう、これからも汗をかいていきたい。

以上、 文責 産業人OBネット 広報部 飯島 剛平