経営革新会2月定例会の記録

【平成26年2月度経営革新会セミナー講演要旨】
  テーマ:最近の金融・経済情勢  ― 2014年を考える ―
講 師:日本銀行 神戸支店長 鉢 村  健 氏
日 時:平成26年2月10日(月) 15:30~17:00
場 所:ひょうご産業活性化センター 7階ホール

第1部  マクロ経済情勢 

・2014年:日本経済のチェックポイントとして、今年1年を展望した時に、リスク・テイクする気概をもてるかどうかである。具体的には、①企業が本業に対する意欲を拡大出来るか、②家計が消費税引上げ後にどう行動するか、③政府が財政再建へ更なる道筋を示せるか、ということである。
 ・コンポーネント別にみた実質GDPは、“個人消費”と“公的需要(公共投資)”が経済を支える両輪となっている一方、“設備投資”と“輸出”は今後の課題である。
 ・需給ギャップは改善しつつあるが、2013年末時点でまだ供給過剰にあり、景気の本格回復には上記の3つが不可欠である。
 ・近年の企業収益は、売上高経常利益率が営業利益率を大きく上回っており、現場レベルでは本業の生産性向上にもっと取組むべきではないか。

第2部 日本経済の構造問題

 ・日本は2011年以降貿易赤字国(成熟した債権国)となっている。地域経済の将来を考える上からもモノ作りを大切にしなければならないが、海外と交易して頭(特許)で儲ける、利息で儲ける、といった所得収支面の強化を考えないといけない。
 ・金融政策の変遷をみれば一貫して緩和策を採用しているが、2013年4月以降は量的・質的金融緩和策をとっており、2014年末の日銀の当座預金残高目標を270兆円としている。
 ・部門別の資金過不足の推移でみれば、1997年以前は資金不足(投資超過)側にいた企業が、1998年以降は資金余剰(貯蓄超過)側に移っている。政府が資金余剰(貯蓄超過)側に、企業が資金不足(投資超過)側に来ることが日本の将来にとって理想であることは言うまでもない。

第3部 兵庫県経済の現状

 ・兵庫県の全製造業の業況判断D.I.は、リーマンショック以降マイナス(不景気)であったが、2013年12月に漸く+1(好景気)に転じた。
 ・兵庫県の景気の特徴として、①企業規模によって利益率に差があること、②業種別に見た生産・売上のばらつきがあること、③地域別に格差があることを指摘できる。

第4部 兵庫県の人口問題と復興戦略

 ・兵庫県の総人口は2005~2010年の559万人をピークに減少に転じており、地域経済と地元企業を継続できるものにして行くかは、人口問題をどう克服するかに掛っている。
・神戸市の人口動態を見れば、他地域からの流入者が成長を牽引する時代は終わり、2012年には純減少に転じた。姫路市と尼崎市の人口動態は、神戸市と異なるパターンであり、大きな企業の動向によって社会増減が大きく変動しているのが分る。
 ・兵庫県は今後、総人口の減少と65才以上人口比率の急速な上昇があり、急増する独居老人とどう付き合っていくかを考えることが重要になってくる。
 ・兵庫県の人口ピラミッド・2040年の予測では、65歳以上の女性高齢者は男性よりはるかに多くなる見込みであり、女性を大事にするビジネスがポイントになる。また、ベトナムの2010年の人口ピラミッドでは、15~40歳人口が全体の約半分を占めており、この友好国の力を日本は(兵庫県としても)借りて行くべきではないか。

第5部 阪神大震災と兵庫県経済

 ・1990年度を100とした企業所得は、2010年度の全国平均は143であるが、兵庫県は84と低迷している。これは大震災による資本ストックの棄損が足枷となり、復興に精一杯で新しいことに取組む余裕がなかったということであろうか。
 ・1990~2010年の製造業の平均成長率を47都道府県別にみると、東京都や神奈川県が製造業よりも非製造業を軸とした成長に転換していることが分かる。こうした中で兵庫県は切り換えが十分とは言えない。

まとめ 兵庫と神戸の“復興戦略”
 ・経済発展と人口動態という観点からみると、2010年以降の人口減少社会では今後の対策として、①“技術革新”即ち市場を創造すること、②“交流人口”即ち人を連れてくること、③“海外所得”即ちノウハウを海外に持って行って利益を送金して貰うこと等を進めるべきであろう。
 ・神戸には恵まれた宝が多数ある。神戸市の「医療産業都市と計算科学研究」を柱とした神戸バイオメディカル創造センター、神戸ハイブリッドビジネスセンター、先端医療センターなどを軸とした産官学の連携は極めて重要であり、神戸と兵庫の未来を造っていくように思う。
以上