パネルデイスカッションの報告

はじめに
 今回のパネルデイスカッションは当法人の設立後6年余りの活動を通して、パネラーの方々が
中小企業の支援をする中で、どのような生甲斐を求め、あるいは生甲斐として感じて活動をしてきたか、事例紹介を交えて発表、討論をすることによって、参加者の皆さんに生甲斐について改めて考えて頂く機会を提供する場として60名の参加者の下に開催されました。

  1. テーマ:「企業人・組織人OBの見い出す生きがい」~6年余りの活動から見えてきたもの~
  2. 日時:平成25年2月22日(金) 15:00~17:00 (パネルデイスカッション終了後交流会)
  3. 場所:川崎重工業株式会社 海友館新館
  4. パネラー5名(順不同)   下土井康晴氏、野田浩志氏、大森康宏氏、西村義規氏、竹内信亮氏  コーデイネーター:大島啓生氏
  5. 討論内容(概略)

大島C  最初に、今、パネラーの皆さんが活動の中心においていることは何でしょうか?

大森P  40年の海外マーケテイングの経験から、海外展開の基本パターンは海外拠点に販売店を設立し、現地社員を雇って販売店の経営基盤を構築することが最重要であると考えてきました。その経営基盤を実現したい気持ちから、今、中小企業海外支援のコンサルタント会社に籍を置き、海外に打って出るにはどのような準備、戦略が必要か経営者の皆さんと一緒に考え、海外へ出て歩き回っています。

西村P  私は主に国内営業が中心で、東京、名古屋、大阪、広島と約30年に亘ってエネルギー関係の工場設備建設の営業に携わってきました。退職後、当法人の会員として何をしているかといいますと、主な支援内容は次のようなもの     です。販路開拓支援(顧客照会)、営業戦略の構築、組織の強化、営業マンの育成及び新製品開発支援等です。特に営業マンには、親会社からの注文を待つ営業から、顧客開拓意欲を向上させることを主眼に置いて指導しています。

 
竹内P  大学講師として学生と触れ合うことにささやかですが生甲斐を感じています。約40年繊維関係の開発、生産を担当してきましたが、定年を迎えその仕事がなくなるといことで大きな穴が空いて、すごく喪失感が有りました。ゴルフ、山登りなどもやりましたが、特に趣味がないことから充実感は無く生甲斐は感じられませんでした。何か自分を必要とするところで働きたいという気持ちが強くなり、これまでの経験からコンサルタントならやれるのではと努力しましたが、現場経験のないことから今一つ。そんな中、大学講師募集があり応募して現在に至っています。

大島C  OBネットの創始者としてのお話をお伺いします。

野田P  退職後、これからはビジネスとは縁が切れて大いに遊ぼうという気持ちでしたが、7~8年前新聞に近畿経済産業局の記事があり、企業OBが中小企業を技術支援することに感銘或いは共鳴して考え方が大きく変わりました。役所の主催する会合や商品のプレゼンテーションに出席する中、一人での活動は難しいと思っていましたが、県の後押しもあってNPO設立を決心しました。出身企業、特定業種や専門分野にこだわることなく、地域社会の発展に貢献しよう、課題を抱える企業を支援しようとの思いで現在に至っています。

大島C  OBをサポートしている上でどのような支援が必要か、OBに望まれる経験・姿勢などご自分の経験から感じたことをお聞かせください。

下土井P S50年頃機械金属工業会青年部会の会長をしているときですが、中小企業も海外を勉強しておかないといけないという考えで、神戸市から50万円の助成金をもらいメキシコ、アメリカを見学してきました。メキシコでは女性が美しいのですね、何故かと聞いてみますと、それは白人とメキシコ人との混血故とのことでした。ひらめいたのですね、中小企業の良さと大企業の良さを混血するといい会社が出来るのではないか。そして大企業から出向者あるいはOBを迎えて会社を経営して来ました。先ず社員が弱いのは書類が書けない、ルール(規律)を守れない等でしたが、文書作成、ルール(規律)を守ることの大切さ等を指導していただくことで、社員の仕事に取り組む姿勢が良くなってきていると感じています。

大島C  次に今のお話を掘り下げて、活動するうえで、どんな時に自分がやっていることに充実感を感じたかを軸にお話をお伺いします。

西村P  私は65歳、活動して3年目の若輩者です。まだ充実感は実感として感じていません。とにかく前を向いて考えながら走っています。特に販路支援となりますと、単にお客さんを紹介しただけでは支援になりません。販路拡大、客との信頼関係の構築、更に新しいビジネスに取り組める体制を成し遂げるところに達成感があります。下請け企業から脱して新規顧客の開拓を考えなければという企業さんが多いので、これまでの経験を活かせればと企業と相談、課題を把握して進路を探す。 技術分野にはいろいろな手法が有りますが、営業には改善・改革手法がないので、その辺の新しい手法を勉強して取り組みたい。

野田P  退職後、充実感を求めて何をしたかですが、朝6時から夜11時までの時間が全て自分のものになる、時間は無限にあると考え、毎朝スイミングプールに行き2kmを泳ぎ、月1回のゴルフ、たまには山登り、俳句、木版画をやり、アラスカへ10日間のクルージングに行ったり、旅行は年2度家内との海外旅行、和室でこれまで読み残しの本を読破、交流面では同窓会への参加等々、充実していると思っていましたが、ある日何か欠けているなと感じ始めました。これまで自分中心であり社会との触れ合いがないことに気づき始め、生甲斐とはなんだろうと考え始めました。そしてOBネット設立後、人のため、世のため、仲間のために活動が出来るこの瞬間に充実感を感じています。

大森P  マーケテイングで一番大事なのは、ターゲッテイングです。実例でご紹介します。先週、ドイツ、フランスへ行って、訪問したのはある砥石メーカーで従業員50人ほどの小さなメーカーですが国内シェア7割を占めており、国内の販路は固まったので海外へ打って出ようとのことで、貿易課長と会議をし、誰をターゲットに何処へ売るなど話をしたのですが、ヨーロッパでは女性は砥石を使わないので、女性がターゲットではないので、包丁メーカーに包丁と砥石をセットで売ってもらうことになり、企業リストからターゲットを選択して出向き、カタログを持ってへとへとになるまで一日走り回りました。彼は私が帰った後も1日更に残っていましたが、スエーデン、コペンハーゲンで代理店が決まった、小さなロットの話しも決まった。“昨日はありがとうございました”と言って今朝電話が入りました。課長さんが言うにはターゲット絞ってブースを決めて、待ってるのでなく出向いて乗り込む戦法が非常に良かったと感謝されました。人に役に立って喜ばれることはうれしいと思いました。

竹内P  今、毎日が充実しています。充実と云っても2つあります。一つは退職で空いた穴を埋めること。もう一つは今やっていることです。今学生たちに欠けていることはマナー、考え方、コミュニケーション力です。最近特に求められているのがコミュニケーション力です。学生たちはコミュニケ―ションが大切であることを理解していませんので、先ず大切なのは人の話を聞くこと即ちコミュニケーションの大切さを話します。教えるには自分が理解していないと教えられないので、週1回の講義前には、どのように教えるか3日間ぐらいを掛けて勉強し十分に準備します。 また、授業は面白くする必要があるので、落語的に或いは驚きを与える新しい考え
方を印象的に表現する必要があります。落語的に小話を交える工夫もするのですが99%失敗します。このようなことを講師陣10名で勉強し工夫することに充実感を感じています。

大島C   まとめとして、多くのOBの方と接触される中で仕事或いは気持ちが充実しているなと感じた事例などのお話をお伺いします。

下土井P 中小企業の社員は書類が書けないルールが守れないのですが、大企業の方は根気よく指導をしてくれました。昭和55年から25年間大手企業に頼まれて、丁度オイルショックの後、人を減らさないかんとのことでしたが、その企業は伝統的な仕事しているので人を減らす分けにはいかないので、私に会社を創って今までやっていた仕事をそのまま私の会社へ移すということでした。その人達と一緒に仕事をする中で規律を守る、ルールを守ることが非常に役に立った。
中小企業は劣等感が有る。大企業は劣等感がない。中小企業は相手に信用されない。大企業は顧客と対等。育ち、経験、肩書等がなければ良いものを造っても売れない。日本の文化でしょう。大企業を立てて活動することが中小企業にとって大変プラスになのではと云う経験をしています。
  
大島C  最後に、OBの方の生甲斐のまとめとして、OBの方が生甲斐を感じる生き方に対するアドバイスをお伺いします。

下土井P 大企業と中小企業は格差が有るので、中小企業レベルに降りて目線を下げての指導をお願いしたい。

竹内P  自分がやってきた6年間の最初3年間は苦労しました。そのお蔭で大学講師につき、喜びが大きかった、それでモチベーションも上がり勉強も学生に分かってもらう工夫もしました。“苦労すれば報われた”です。

西村P  間もなく定年と云う頃、指折り数えながら色んなことを続けたいと考えました。いろんなことを身に着けて自己満足しようか、身に着けているものを全て人のために使って自己満足しようか等と考えていました。そんな時、ある先輩の心に残っている言葉を思い出しました。「報恩感謝」・・・感謝を感じたら世に還すこと。報恩感謝で自己満足できれば素晴らしい人生になるかなと思いながら今の仕事をやらせてもらっています。もう一つは、ボランテイア活動でした。無報酬での支援活動のすがすがしい素晴らしさを感じながら色んな活動を続けたいと思っています。

大森P  “生甲斐は将来現役” 今100歳で矍鑠としている方は沢山います。身体が動くうちは働く! ストレスから逃げず、ストレスは脳に対する活性剤。自分自身が没頭できる世界をつくる!仕事以外何でもいい。2本の軸足を持つこと。今,20年来小説好きのメンバーが集まり小説を書いて発表している。書き物は新しい発想・着想が出る。この高揚感に人生の生甲斐を感じることが出来る、できれば長く続けていきたいと思っています。

野田P  社会貢献活動の考え方を、事例を交えながら紹介させて頂きます。現役時代に体験した日米貿易摩擦の時、日本人はエコノミックアニマルと批難され。日本人はお金を出すが汗を流さない、社会貢献しないと言われました。ある日、カリフォルニアの市長に5:30にアポイントをして訪問すると、今会社から帰ったところですと云うのです。 市長職はボランテイアなんです。そこに汗を流す神髄を見たのです。また、ニューヨークに居る頃、1990年代石油ショック、排ガス問題が巻き起こっていました。クリーンなエネルギーを代替エネルギーとして考えなければと、水素は使用すれば残るのは水のみ、まさしくクリーンと考えましたが、自動車に積むためにはタンクが大きくなる。 このようなことに取り組むベンチャー企業を探し訪ねて初老の方に面会し名刺交換をして、名前が気になるので確認すると元GMの社長で、もともと大気汚染の元凶を作り出した人物ですが、リタイヤしてから研究所でボランテイアとして低排ガスの研究に携わっているという生き方に感動・感銘したことが、その後の私の活動に大きな影響を与えました。

大島C  会場からご質問、ご意見がございましたらお受けしたいと思います。

岡部氏  私は77歳です。パネラーの皆さんのお話を聴いて感じたことは。皆さんのお話は、会社勤めの延長線上でサリーリーマンとしての生甲斐であったような気がします。これから大切な事は、これまで関係の無かった人、趣味の違う人、文句を言う奴と付合い、次の新たな行動をすることだと思います。小説を書く等いいですね。今、私は戦争孤児について調べたりしています。また版画、スケッチ等して社内報に載せたりしますが、自分で描いて自分で満足しているのはダメで、周りの人の意見を聴くのが大切です。60歳代は何でもできる、実際の生き方は70歳を過ぎてからです。

大島C  これで本日のパネルデイスカッションを終了します。ここでは結論は出せませんが、参加者の皆さんが自分なりの生甲斐にについて考えていただければ、本日のパネルデイスカッションが有意義であったのではないかと思います。

おわり