経営革新会3月(試行)定例会の記録

1.日時 平成24年3月28日(水)14時~17時

2.場所 サンパル7階 ひょうご産業活性化センター ビジネスプラザホール
3.プログラム
   (1)講演:ひょうご産業活性化センター 理事・総括コーディネーター 
吉岡昭一郎氏 「最近の企業動向事例」
(2)パネルディスカッション「海外進出の可能性:アジア各国の現地事情」
    進行    産業人OBネット 理事・事務局長 後藤邦彦氏
    パネラー  産業人OBネット   大森康弘氏(インドネシア駐在)
                   小川優氏(タイ駐在)
                     角谷一明氏(中国駐在)
                     永井良平氏(イラン、タイ駐在)

4.参加者   賛助会員及び企業12名、産業人0Bネット個人会員34名、
その他個人1名、ひょうご産業活性化センター2名   計49名

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(講演及びパネルディスカッションの内容)

以下の講演の内容にはNPO法人産業人OBネットの公式見解と異なる部分がありますが、吉岡昭一郎氏のご提言としてご発言どおりに掲載します。(広報部)

 

.講演:「最近の企業動向事例」

  ※太字がパワーポイントの内容

1.はじめに

   私は3月末付けでひょうご産業活性化センター総括コーディネーターをやめる。

    あとは6階の会議室を確保してもらい、理事として残る。4月からの理事としての仕事は、年4回の理事会程度であるが、皆さんとの対話は必要なため、連絡い ただければ、いつでもこの部屋に出てくる。 この経営革新会は大変難しいことをしようとしている。その難しさを皆さんは理解されていないので、今日はもう 一度

    私の考え方を、パワーポイントを使って説明したい。そして6階の部屋で、経営革新会の方向付けについて議論していきたい。

2.今後の経営革新会の私の考え方と進め方

  (1)行政ではできない中小製造業の深堀支援

わざわざ 「製造業」とした。中小製造業はこれからが大変になる。今は仕事がきているが、半年後が見えるかと聞くと、見えるという社長は少ない。1年後はわからない と言っている。これからは製造業の痛みが現実化する。いま金と仕事のある間にやるべきことをするべきだ。そのことを感じている経営者は少ない。

私はこれからの厳しさを実例を持って訴えているので、是非わかってほしい。

活性化センターの施策として、専門家派遣を各企業のニーズにより行っている。

しかし行政ではできない支援がある。

   そのために、経営革新会をきちんと立ち上げようとしているのである。

   

まず経営革新とは・・・経営環境の激変、どうすればよいの?企業OBと一緒に

考えたい経営者を公募

   今は海外に出て行った企業も、国内での企業も儲かっているところは多い。しかしこれから厳しくなる状況に対応するために賛助会員に入会してもらう。そしてどのOBに指導を受けたいかを、よく見極めて、専門家派遣の支援を受けてもらう。

  ⇒まずは産業人OBネットの賛助会員に入会し、専門家派遣支援などを受ける。

  ⇒その後「経営革新会」に入会し、「経営革新支援会」の支援を受ける。

   「経営革新会」は、産業人OBネットの賛助会員とイコールではない。

    賛助会員のなかで経営革新会に入りたい企業、意欲のある企業が入るのである。

   「経営革新支援会」とは・・・OB会員で構成 人に役に立ち、感謝される幸福感

    私は4月から年金のみの生活になるが、企業の役に立ちたいとの気持ちは強い。

    中小企業を愛情を持って救いたい:経営者の右腕になり汗を流し支援

   ⇒産業人OBネットの正会員に入会し、通常の活動

   ⇒成果配分でも良いから支援したい:「経営革新支援会」に入会

   ⇒大中堅企業でのグローバルな体験、金融機関などでの知恵を発揮し支援

    「経営革新支援会」は、産業人OBネット正会員全員ではない。

    

    中小製造業の深堀支援の専門家派遣:行政での不可能を可能にする。

すでに数件の実績あり

   ⇒製品を海外企業に販売したいので、販路を教えてほしい

   ⇒販売するに際し、契約書作成や海外カタログの原稿作成をしてほしい

   ⇒製品の改造提案を願いたい

 

  (2)「経営革新支援会」とは:中小製造業の成長モデルをつくる

     技術、品質、価格、納期等の経営力に強みのある企業は生き残れる

     生き残るための経営力向上策は:海外進出は短期間勝負

     「へいあん」の社長の話、プレス屋は儲かる。なぜなら製造5工程を3工程に減らす工夫のできる人材がいるからやれるのである。

     中国に進出している会社は、いまは儲かっているが、5-6年先は大丈夫か。

     賃金は毎年上がっている。中国進出企業はすぐに東南アジアに移動している。

 

     顧客の満足を得るため、競争相手とネットワークを構築する業態変化への

対応力

     大企業はネットワークがある。中小企業は敵対意識丸出しで、知的財産権の争いが多い。中小企業は知的財産権のバカな争いをなかなかやめない。敵を味方にする考え方が大切。

     「とうせい」の例。どんなの注文を受けても断らない企業。受けた仕事が自分でできないなら京都、大阪の他企業にやってもらうネットワークをもっている。

     顧客は満足し、その企業は発展する。

 

  (3)あわてず、あせらず、あきらめず⇒常に危機感をもってアイデア創出

     OB会員⇒経営改善提案を発信「この指たかれ」で中小企業を集め、有償で

          「検討会」開催

         ⇒経営者の右腕になり、一緒に汗を流して、成果配分で支援    

          泥臭い中小の経営が理解できないと、愛情ある支援ができない

         「何やっているのか、バカ」という言葉が出ると中小企業の社長は

離れていく。その言葉がトラウマになる。日頃の付き合いの中で

中小企業の泥臭さを感じてほしい。

   

 ⇒グローバルな体験、知恵、金融機関の知恵を発揮して支援。中小企業各社とよく知り合えば、数々の提案が発信できる

     ⇒中小企業の維持、継続、発展等数々の提案⇒有料で参加者を募る

   

(4)合理化追求検討会:あわてず、あせらず、あきらめず:経営形態の

革新化

      人  ・各社間の人事異動、切磋琢磨の活性化をはかる

         ・産学連携、各社の技術の共有化、コア技術を磨く

      もの ・各社の設備などの共有活動で省力化をはかる

      金  ・専門家による金融機関との関連強化

      情報 ・専門化によるマーケティング

         ・顧客ニーズの正しい情報をスピーディに入手⇒情報の売買

     開発部隊・各社の得意分野を融合した複数の開発部隊

         ・新製品開発、販売⇒セールスレップ 

その他 ・事業承継問題の解決

(5)特殊技術の共有組織:モジュール化の検討会

   (各社の持つ特化した技術の融合で新製品開発:各社技術力向上)

  ※公的助成金、産官学連携による支援制度などをOB人材が申請

各社得意分野の特化(モジュール化)

A社 B社 C社       OBコーディネーターにより

                S製品はA社、E社

D社 E社 F社       Y製品はC社、J社

          

G社 H社 I社       各社得意技術分野を融合して

                試作、開発、設計、製作、販売をする

J社 K社 L社  

モジュール化は難しいので、あわてず、あせらず、あきらめず

 

3.これから中小企業はどう生きるべきか

 (1)日本企業を取り巻く状況は、大変厳しい

    大企業は外に出て行く。中小企業は国内で生き残れる企業になることが大切だ。今日の新聞に、シャープは台湾の鴻海(ホンハイ)と 不振の続く液晶パネル事業の立てて直しのため資本・業務提携するとでていた。鴻海はシャープの約10%の筆頭株主になる。そんな時代だ。また電機大手の シャープ、ソニー、パナソニックの3社でこの3月期は1兆3000億円の赤字になる。パナソニックの尼崎パネル工場は、3パネル体制から1パネル体制に縮 小する。またエルピーダーメモリーも2009年に公的資金300億円を注入したが、倒産となった。インドのタタ自動車が19万円の車を出した。どうしてこ んな低価格の車が作れるのか。

    またリチウムイオン電池の分野では、日本のシェアは50%から34%へ後退し、韓国に負けた。このように日本企業を取り巻く内外の状況は、大変厳しい。

 

(2)今後どうすべきか

   これまで日本の企業がなぜだめになったかを考えてみると、日本企業は革新的な

ことができずズルズル業績低下したと思われる。日本の製造業は全て垂直統合し

て物をつくっている。日本も水平統合になる必要がある。日本人も感覚を変える

べきだ。チャレンジ精神、やろうとする気持ちを持ってほしい。

   これから国内に残るのは大企業の研究所だけ。その時に中小企業の技術が生きて

くる。本当は今から中小企業の時代になる。是非大企業の助けになる中小企業に

なってほしい。国内で生き永らえるためには、技術力、経営力の強い企業になる

しかない。    

.パネルディスカッション

「海外進出の可能性:アジア各国の現地事情」

1.パネラーの自己紹介

 

    2.1月のパネルディスカションでの海外進出に関する意見の要点

(後藤)1月のパネルディスカッション(http://www.sanobnet.jp/event/korekara.html)の海外進出に関する意見の要点を配布資料にまとめていますので、説明します。パネラーから付け加える点がありましたらお願いします。

項目

意見、疑問

例示、答え

海外に進出すべきか?

海外進出の是非を論ずる時期は終わった。機会を見て絶対に進出すべき

 

海外に出ない戦略もあり。国内でもニッチの市場はまだまだある

スイスでは精密機器関係は、海外に出ない。開発、物づくりは国内、量産は海外。

海外進出を目指す場合

きっかけ

見本市(展示会)でプレゼンし、メーカー、物量、商社と面談す。

バンコクで医療機器の販売活動の経験あり

体制

現地に詳しい商社や元駐在した人の活用が原則

 

組む相手

釣り合いのとれた相手方とはうまくいく

 

注意事項

異文化の中で外国人と仕事をするという自覚が必要

YESとNOの使い方も全く違う

日本側の注意

日本の本社が日本の尺度で判断するのはまずい

 

要員教育

どのようにして社員に海外に行かせる教育をしたらいいのか?

*チャンスを与えて経験させるOJT

*現場に投げ込むのが一番よい

*おっ放り出して失敗させ、経験させるのがよい

投入資金

どの程度の資金を考えるべきか?

三分の一をまず投入して以後の判断をするのがよい

撤退

最初に撤退するための条件をきちんと決めておくことが重要

 

(大森)自分が好きでほれ込んだのは、インドネシアで、ここに是非進出してほしい。

その理由は後ほど説明したい。

(角谷)1月に投資資金についての質問があったが、そのあと調べたら日本能率協会の中国進出の資料(2004-2005)があったので、簡単に説明したい。ものづくりの中小企業の事例。

   1.コスト計算は日本と比較し①人件費は1/101/20、②水道は1/10、③電気は1/51/10、④材料費は1/51/10

   2.人員は駐在員1名、工場スタッフ、工場要員など50

   3.年間4000万円の経費、投資は5000万円を3年で回収

   4.年間売上2億円、粗利40%でトントンになる

     概要は上記の通りだが、日本との製造コストの比較では有利、しかし中国メーカーとのコスト競争はある。さらに中国の要員を使って如何にコストダウンするかは課題。いずれにしても出て行ったほうがよいと考える。

 

   3.各パネラーからの海外進出の考え方と現地駐在経験の披瀝

    ①大森パネラー

(大森)1月のパネルで出るのはアセアンしかないと言ったが、アセアンは10カ国あり

   私の思いは「インドネシア」。建設機械の販売で、ジャカルタに2年いた。

   インドネシアは以下の理由で将来のポテンシャリティは大きいと思う。

   1.天然ガスなどの天然資源が豊富

   2.人口は24000万人で、中国、アメリカ、インドに次いで世界第4位。

     しかも若い人が多くピラミッド型人口構成。

     インドネシア人は性格がよくおとなしい。友好的。

   3.気候がよく、言葉は覚えやすい。食事もおいしい。

      但し、インフラが追いついていない。(停電はよくある)、金融機関が整備していない等の弱点もある。。しかし将来アセアンでトップの国になると思う。

     

 326日の朝日新聞に「インドネシア 車生産加速」という記事が出ていた。

    これによると、①欧州では人口1000人当たり500台の車保有に対しインドネシアでは人口1000人当たり50台に満たない。今後自動車市場はすさまじい勢いで成長する。②日本から日産、トヨタ、ホンダが新工場の建設も含め生産量を大幅に増加させつつある③GMも現地生産の再開を決定。韓国の現代自動車、インドのタタ自動車も進出をうわさされている。

    

急成長すれば株価の時価総額は,GDPの1.52.0倍になる。日本も1998年には株価総額は600兆円を超えバブル期になった。

    インドネシアのGDPは40-50兆円、株価総額18兆円で成長の可能性は高い。

(会場)インドネシアのマーケットには魅力あるが、カンツリーリスクとしての地震、津波の心配はないのか。製造業としては、気になるところである。

(大森) 地震、津波は少ないと思う。製造業の懸念はインフラ、社会制度の整備が遅れていることはある。整備には時間がかかる。インフラへの投資は今後期待できる。

   海外送金などは、いいパートナー(華僑)を探すことだ。

   イスラム教については、宗教的規制は比較的フレキシブル。ラマダンはあるが・・・

  

 ②小川パネラー

(小川)タイに1997年に行った。1990年前半は9%の成長で安定していたが、1996年にアメリカの強いドル政策で、タイバーツもあがり輸出がしんどくなり、貿易収支は赤字になった。1997年5月にはアメリカのヘッジファンドが大量のバーツを空売りしたので、7月変動相場制に移行した。アジアの経済危機が起こり、タイ、韓国、インドネシアはIMFの支援を受けざるを得なくなった。

   このような経済状況の中で川重と合弁のタイのオートバイ会社が第2工場を建設しており、行きづまったので、川重が第2工場と販売会社を買収した。

   オートバイマーケットも1/3になり、従業員の大量解雇が必要になった。

   その間知らないまに労働組合ができた。タイでは10人の発起人で労働局に登記すれば労働組合ができるので要注意。組合組織率は低いが、すぐに組合はできる。比較的真面目な組合であったが、最低賃金だけは上げてほしいとの要求で、深夜まで交渉した。

タイは女性はまじめでよく働くが、男性はなまけもの。タイはアジアの国で唯一

外国に占領されていないので、誇りは高い。

 

ヴェトナムにオートバイの輸入販売するための小さな組みたて(ノックダウン)

工場をもっており、タイから出張ベースで行った。ヴェトナム人は勤勉。

ミャンマーは軍政が少し緩んできてコカコーラなどはどこでも買えるし、オートバイの販売もできた。

(会場)ミャンマーに行かれたのはいつ頃ですか。最近社会はオープンになりつつあるのか。民主化は今後どうなるのか。

(小川)1998年、1999年ごろ。ミャンマーは発展するのはこれからでしょうね。

 

角谷パネラー

 (角谷)外国に出て行く場合の危機管理についての経験をお話したい。

   1.2001911日の多発テロの時、私はアメリカでフライト中だった。

日本では1週間行方不明ということになっていたが、会社は何もしてくれなかった。そのあと出張は日本の航空会社を使えとなったが、今はまたゆるんでいる。

   2.2003年、中国の三峡ダムの地すべりを発見する機械の販売に行った際のことだ。

     3月にダムの貯水が終わった時に、サーズが起こった。

     国、会社から渡航の禁止。そのため契約ができず、アメリカ、ドイツの機械に

     契約を取られた。それ以降この機械は中国では、売れていない。この機械の売り込みは商社を通じての取引だった。この教訓でそれ以降、現地に事務所を設置した。

   3.中国では、法律の通告はあるが、規則とかルールを書いたものはない。

     法律の通告の前に必ずどこかに事前に知っている者がいる。それを探す。

     そのつながりが大切。外国人には言わない。中国人を使ってその情報を得ることが、いちばん必要である。 

   4.中国では、担当者がこの資料をもってこいと言う。もっていけないときは根気よく日参して説明する。交渉のルートを変えるなどの工夫がいる。

     そのためにも現地に事務所をつくる。

   5.日本に留学した中国人を使う。彼らは中国人としては珍しくルールを守る。その人たちの人脈を使うことは、成功につながる。

 (会場)中国では売った商品のお金の回収には時間がかかる。お金を稼いでも送金できない(配当も同じ)。現地で物を作らせて、日本、アメリカに再輸入する方法もあるが、代金回収のリスクの面でどう考えるか。

 (角谷)現金取引しかない。国営企業では、1月1日に予算を決めて、12月31日にお金が出る。わたしは12月末に現金取引した。また利益の回収は香港に会社をつくり、中国→香港→日本の取引ルートで回収した。

 (藤嶋)(フジ・データ・システム)22年前から香港(現在は深川)と取引している。直取引では、LCはきちんとした銀行かどうかをチェックする。オプション品は36ヶ月のTTとする。現品は商社が間に入ってくれている。新規の販売は、現金前払いでやる。

※ LC(Letter of Credit 信用状)

       TT(Telegaphic Transfer Remittance

     電信為替送金)

 (会場) 中国では、LCでなく、現金取引にすべき。松下幸之助は「政経分離」で経済の独自のやり方を主張した。いい製品は現金でも売ってくれということになる。

 (小川) 中国のリスクは際立っている。LCでも発行銀行はどこかまで注意する必要がある。タイ、インドネシアの華僑の世界では、倒産の定義はない。長期滞留の売掛金が残ることは常識。東銀の担当者も言っていたが、華僑から担保を取れない。担保金融が確立していない。

 (永井)タイに3年いて感じたが、事実上倒産しているのに、商売、営業を続けているし、お金を返してくれない。一度だけ倒産したところへ税務署と計算機を差し押さえしたことはある。担保をあらかじめ取っておいても、お金にならない。

     華僑の中でもいい人と悪い人がいるので、うまくいかなくなったときのために

     周りの人の意見を聞いて見分けることが大切。

 

永井パネラー

 (永井)まず外国での付き合い方についてお話したい。

1.どこでも外国は異文化との付き合い

    東南アジアの文化や人間は、比較的日本に近い。中東、アフリカは全く異次元の

世界で気候・風土が違う。日本では「のり」はふたをしておく。「佃煮」はそのま

ま。中東では「のり」はそのまま。「佃煮」はふたをしておく。

    また中東では、太陽は悪魔、星と月は恵み、星と月を国旗にしている国も多い。

    ユダヤ教、イスラム教、キリスト教はエルサレムという砂漠が発祥地。

    日本では清貧は尊ばれる。中東ではお金持ちは人格、能力において優れた人、

    貧乏人は劣った人とみなされている。

 2.現地では言葉が大切

    英語で交渉するが、現地の言葉を知っていると思わせないほうがよい。

    相手のひそひそ話を知って、交渉の裏をかくこともできる。

    通訳は言葉だけのプロは、通訳内容に間違いが多い。ビジネスでは全く通じない

ことがある。多少言葉に問題があっても、業界のことを知っている通訳がよい。

    留学生の活用は大切だ。日本に12万人の留学生(うち8万人は中国人)がいるが

社員として雇用し、育てていく必要がある。3人のうち2人はやめるが・・・

    3.駐在中の危機管理は大切。

    イランの大学に2年、その後5年間テヘランに駐在した。その間イラン・イラク戦争、ホメイニ革命が勃発した。イ・イ戦争の時は毎日空襲があった。

 

外務省、通産省は行政指導で、「動かないほうがよい、脱出をあきらめろ」と言っ

てきた。勤め先の伊藤忠は、「行政指導があるが脱出しろ」と言ってきた。バス

1台を借り切り、社員は陸路トルコに脱出した。

    この例にある通り、内乱、戦争の時は外務省、日本大使館は全く当てにならない。

民間人は国をあてにすべきではない。

    イラクのクウエート侵攻のとき、カラチの学校で、まずアメリカ人の先生がいな

くなり、次に日本大使館の子供が消えた。ややこしい状勢になれば早めに逃げる

ことだ。

   

 4.通訳、代金回収のリスクなどの意見交換

(角谷)通訳のリスクは大きい。最初の中国の通訳は、金額を偽って報告、重要なことは通訳

せず、勝手に相手と交渉した。通訳はしゃべれるが文書は書けない。

   中国の契約書では、中国語で過去形と現在形は全く違う。期間はいつからいつまで

かをきちんと書くべきだ。交渉時は、中国語はしゃべらないようにして、数値は必

ずチェックした。よい通訳を探すことが大切。

(小川) 通訳は日本語と英語のできる秘書にやってもらった。

   日本大使館との付き合いはなかった。

(大森) 交渉には必ず議事録をつくる。LCでお金が入ったと思うのはまずい。

バンクによっては悪意のLC開設ありうる。自動車部品をことさら全品書く。

船積書類をFAX送り、1字違ったら直さないとだめと言う。

TTのほうがよい。

(会場) 日本の銀行は倒産しないし、円の信用は高い。

    日系ブラジル人が自国に戻るとき送金しないで、ドルに換えて腹巻に巻きつけて

    帰国するという話だ。

    銀行に対する信頼感は、日本と海外では違う。

    各国の銀行に対する信頼度を聞きたい。

(大森)インドネシア国立銀行が倒産してLCを払ってくれないことがあった。

    華僑が個人で開いている銀行もある。

    中南米では、LCは開けない。

    日本ほど銀行は整備されていない。

(小川) タイの場合銀行に対する不信感はない。給与振込みは銀行を使っている。

    大きいバンコクバンクは問題ないが、小さな銀行はつぶれることもある。

    ヴェトナムは銀行未発達。1997年頃は前金で取引した。

(角谷) 中国の銀行は地域により異なる。少数民族の地区には銀行はない。

    外国人の銀行口座はパスポートが変われば継続できない。

  

  また住居表示も必要なのだが、水道料金領収書などはカタカナなので、住民票を

使うこともある。

(永井)オランダでは、銀行を活用して日常生活にはカードを使っている。

    またパソコンで簡単に出し入れできる。

イラン、パキスタンでは現地人はそこそこ銀行を信用しているが、国そのものの信用度は低い。

    イラクとの取引で、数十億円損したことがあった。

    シリアではLCの換金ができず、日本の銀行の立替払いに高い金利をたくさん取られたこともあった。

    LC事故の防ぎ方は、船積みはLC到着後は契約で何日間かは物を出さないことにし、その間にきたLCを入念にチェックすることだ。

    NON 0PERATED LCはリスクがある。

    発行銀行が信用できない時は、第三国の一流銀行にコンファームしてもらう。

 

(会場)東南アジアでは華僑が勢力を持っているが、中東ではどうか。

(永井)中東には、華僑、印僑はいない。テヘラン大学で台湾外務省から来ていた留学生が

   「もしイラン大使館勤務になったら、外務省を辞める」と言っていたので中国人は

イスラム国と合わないのではないか。イランの中国料理店のお客さんには中国人はいない。一方韓国人はイスラム教徒と合う。

 

5.各パネラーから最後に一言

(大森)海外に出るのはこれからの10年間は必然と思う。東南アジア、アセアンに出れば、合うパートナーは必ず見つかる。販売網をもっている企業もある。海外進出はそんなに難しいものではない。是非海外進出を考えてほしい。

 

(小川)タイで川重の部品会社6社がジョイントで進出したのを援助した。歯車の鍛造は

   オーナー社長、アルミの鋳造はサラリーマン社長で軋轢もあったが、何とかうまくいった。こういうやり方もある。

 

(角谷)一度海外に進出するという状況の計画(シミュレーション)を作って検討してみるのもよい。

 

(永井)進出する先は、東南アジアだけでなく、BRICSの1つのインドもあるのではな

いか。インドは大きなマーケットであるし、論理的思考のできる民族だ。

    インドも視野に入れて将来の進出の準備をするとよい。      以上

                             (久留島 正)