経営革新会2月定例会の記録

1.日時 平成25年2月13日(木)16時30分~17時
2.場所 サンパル7階 ひょうご産業活性化センター ビジネスプラザホール
3.プログラム     講演「海外進出計画策定ガイド」当法人理事 濵田 豊機氏
4.参加者   産業人0Bネット 賛助会員5名、個人会員18名、グローバルの会会員 26名、ひょうご産業活性化センター5名、計54名

 
 
濱田豊機氏

濱田豊機氏

講演内容
1.初めに 前回9月27日の「海外進出構想ガイド」では、海外進出構想を検討するためのチェックポイントを説明し ました。本日の話は、それに引き続き第二部「海外進出計画策定ガイド」として、実際に海外進出する上での、具体的な進出詳細計画策定のためのチェックポイ ントとして、説明させていただきます。 

 

 

 

2.第二部「海外進出計画策定ガイド」のチェックポイント 

(1)進出計画策定チームの結成 

    1. 社内の責任者とメンバー

責任者は社長、その下にプロジェクトマネジャー、各部門長が配置される。 構想を立てる、現地事務所・工場の建設、操業(オペレーション)の三段階がある。また本国、現地での責任者、撤退も視野に入れた対応も必要である。

    1. 社外の協力者(国内外)コンサルタント、銀行、公的機関、取引先などが対象である。
    1. 計画策定のための予算と検討期間

予算項目として策定のための人件費、コンサルタント料、旅費交通費、資料収集費用、その他がある。また検討期間と検討会議の頻度も前もって策定しておく。

    1. チームの概念

チームはそれぞれに進出段階で、「構想検討調査チーム」、「建設チーム」、「操業チーム」、「撤退チーム」を考えておく。また地域的には「現地派遣チーム」、本国には「バックアップチーム」がある。 

(2)経営関係

①経営理念 海外進出目的は社長、役員、工場長で議論し深めていく。何を、どのようにして進め、社会や従業員たちに貢献するかの検討をする。環境対応(政治・経済情勢、近隣地域への対応、自然環境保護など)も重要である。

②株主とその構成 単独出資か複数株主の出資か。 パートナーはだれか、そのシェアは。現地の従業員の株主権の付与は。協力者、現物出資者を募るのか。

③経営組織(現地の体制)現地社長、ボードメンバーをどうするのか。人員計画と後継者想定(現地責任者交替計画)は。

④取引銀行 本国側のメガバンク、信託銀行、地方銀行、証券会社はどこか。海外の現地金融機関、日本の銀行の現地支店はどこにするのか再確認する。

    1. 資金計画  

まず営業、購買、総務、人事で必要な資金はどのくらいか。調達先をどうするのか(自己資本か社債か借り入れ金か)。資金繰り計画は。

    1. 操業計画、

(ⅰ)現地工場・事務所建設期。

(ⅱ)初期操業期(試行期間) 本格操業期(短期、 中期、 長期)

(ⅲ)操業状況のフォローアップ(課題と対応策ガイドラインの設定)本格操業までの試行期間は、3-6ヶ月。

    1. 閉鎖検討(撤退とその条件の検討) 

カントリーリスクへの対応は大切。(政治、国際法規、社会、自然、取引先等)撤退の場合ゼロにするのか(スクラップ化)または転売するのか。 人員整理では、あとの雇用問題の解決が必要。  (3)営業関係 

①市場調査 商品計画は、何をどれだけ売るのか(主力製品、成長期待製品、新規開発製品等)需要予測(潜在需要、顕在需要、受注予想)は、競合他社との取り合い、自社でどのくらい取れるかをしっかり見極める。販売価格の設定、販売先はどうするのか。

②競合関係現地同業他社の状況・動向と代替品との競合(例:バターとマーガリン)

③売上計画(製品ごと、顧客ごとに作成する)受注線表の作成(主力製品、成長見込み製品、新規開発製品)(月別)時期別に作成(初期、短期、中期、長期)販売方法別に作成(インターネット販売、その他) さらに物流システムの改善、広告宣伝のあり方、販売価格表の作成と見直しの検討が必要である。

④営業組織とネットワーク(現地組織と国内バックアップ体制)営業要員の人員計画、養成計画。本国・現地とのお互いのバックアップの関係。現地営業組織の充実。 IT技術の活用と販売代理店の選定と契約条件を検討する。

⑤プロダクトサポート体制(製品が売れなくなることのリスク回避)保証工事体制の確立(生産技術部門との連携)。クレーム処理ガイド、技術者派遣体制(特約店)。保証工事量の想定(製品別)。プロダクトライアビリティ保険(製造者責任保険、製造物保険) 

⑥販売間接費(部門費)の策定試行期間と本格操業期間を区分けして算定する。

⑦経営計画会議への参画(部門長)情報の収集とトップとの緊密な連携が必要。

(4)生産関係 

①生産品計画生産の初期、短期、中期、長期の時期別に、種類と量を策定する。

②生産技術検討(商品売上計画に基づく)どの技術を使うか(従来技術、改良技術{自社にて改良}、先端技術、新技術{量産技術})。自動化、省力化のためのIT技術の活用。

③生産設備計画生産設備は、現地企業をM&A買い取る、自社設備の中古品を再利用する、最新設備を導入する、などの選択肢がある。新しく建設する場合は、設計、GC、監理、建設期間、資材調達などの検討が必要である。この場合資金計画も重要である。

④組織と人員計画初期、短期、中期、長期のステップごとに策定する。製品が違えば製品別組織がいるが、それを統合する一体化組織も必要である。人員調達計画は、技術職、現業職別に計画、組織も分けて管理する。

 ⑤開発研究計画と体制基礎研究、応用研究、生産技術開発別に計画する。研究開発費の見積もりを行う。

⑥パテント・ライセンス管理、技術の探索、開発を行う。その果実の新技術のパテント・ライセンスを管理する。自社技術、買い入れ技術、(買い入れ額の試算)別に管理する。⑦品質検査体制検査体制は、ライン内での現業内検査と検査部などの別組織による検査がある。

    1. 生産コストと部門費の算出(初期、短期、中期、長期別に算出)原価計算と生産コスト単価表の作成と見直しは、経理と営業部門の共同作業になる。 
    1. 経営計画会議への参画(部門長)情報の収集とトップとの緊密な連携が必要。

(5)購買関係 (受注・生産計画、建設計画等に基づく)

①購買先・方法の検討まず購買市場調査を行う。仕入先は、(ⅰ)従来の仕入れ先(国内)、(ⅱ)新規仕入れ先、(ⅲ)現地での仕入れ先、(ⅳ)第三国からの仕入れ先がある。また仕入れの方法は、(ⅰ)代理店経由、(ⅱ)直接仕入れがある。さらに物流システムの改善を検討し、少しでも安価に仕入れる。

②仕入れ条件の検討検討項目は、価格、品質、受取条件などがある。 仕入れ単価表の作成と見直しを行い、輸送コストの軽減に努める。     

③品質管理体制どの時点で検品するか、いろいろな段階があるが、実情に照らし検討する。(生産途中、完成検査、工場発送前、到着後、稼働テスト時)

④購買計画の策定、(初期、短期、中期、長期別に策定)生産計画、設備計画、業務遂行計画等に基づいて、製品別、納期別に策定する。

⑤組織・人員計画⑥仕入れコストと部門費予算の算定⑦経営計画会議への参画(部門長)情報の収集とトップとの緊密な連携が必要。 

(6)経理・財務関係

①収入・支出計画作成(各部門の費用の集約)(初期、短期、中期、長期の時期別)標準原価計算と単科表の作成と見直しを行う。

②資金調達・返済計画乗り出し費用及び運転資金を算定し長期資金繰り表作成し、資金の調達、返済計画を策定する。

③経理組織・人事

④業務計画・社内経理、取引先決済、銀行取引について計画する。

⑤部門費予算の策定

⑥経営計画への参画(部門長)情報の収集とトップとの緊密な連携が必要。 

(7)総務・広報関係

①組織・人員計画

②業務計画庶務、従業員福祉の実施、設備・不動産管理などの分野がある。

③部門費予算の策定④近隣対応 どうするのか     

⑤現地行政等への対応

⑥CSR(社会貢献)       

⑦広報 事前に対策が必要⇒オペレーション後はカタログ、TV、新聞広告、インターネットなどで広報活動を行う。 

⑧法務管理(コンプライアンス、社内監査、契約監査等)営業、購買、技術契約が国際的に成立するかチェックが必要。

⑨人事・労務関係

    1. 組織・人員計画(オペレーション後が中心)

(ⅰ)職位、職級制度の策定(ⅱ)給与・報酬制度策定:従業員に対する条件を設定(ⅲ)人事管理計画(ⅳ)労務管理計画(ⅴ)出張規定

    1. 採用計画

 (ⅰ)現地採用、国内採用 (ⅱ)採用方法、採用ルート(ⅲ)採用条件、能力検定

    1. 教育・訓練計画 

(ⅰ)社内・OJT、 社外教育(ⅱ)準備期間・訓練期間とその訓練方法を検討。

    1. 労働契約

(ⅰ)現地雇用規定(解雇条件等を採用する時に決めておく)さらに解雇の条件、規程も決めておく。(ⅱ)駐在員規定

    1. 従業員福祉計画(総務部との連携)

(ⅰ) 住宅計画 現地での社宅をどうするか。   (ⅱ)その他の福祉計画

    1. 労働組合

まず必要かどうか、現地パートナーとよくすり合わせておく。 (ⅰ)労使協議会 組合がないとき労使協議会を検討する。(ⅱ)従業員株主制度 補助金をどうするか検討する。 3.まとめ(1)これまで説明しました内容は、第二部「海外進出計画策定ガイド」としての計画策定のための調査・検討のためのチェックポイントであり、第一部の「海外進出構想ガイド」と合わせて全体を構成しています。なお、これらは、大企業・中堅企業で使われている内容でありますが、社長がほとんど全てを管理している中小企業でも、参考になると考えます、(2)パワーポイント等でなく、書き物・レジメの形で皆様に配布しました理由は、

①社長の皆様は、その業界の内情にも詳しく、かつ、計画のためのチェックポイントにおいても、ほとんどのことはわかっておられると思います。

②しかし社員の方々にも、同程度の知識・情報を、身につけていただくことが、よい計画をスムーズに策定する上で必要であると考えますので、社員教育の参考資料として使用していただきたいと思っています。

③産業人OBネットの方々においては、自分の専門分野以外に関することの参考として活用していただければよいと考えます。

④書き物として、公開資料にすることにより、皆様から、私の勉強不足や誤りを指摘していただき、また、コメントをいただくことにより、私自身の勉強にもなりますのでご指導・ご鞭撻のほど、よろしくお願いいたします。

(3)さらに詳細や、業種の実態に合った調査・検討をするためには、専門分野のコンサルタント等の指導を仰ぐことが大切と考えています、次のステップ(第三部)は、個別特殊案件となりますので、個別コンサルタントが対応することになります、産業人OBネットに、声をかけていただければ、何らかの、お役に立てることと思います、                        以上(久留島 正)