1.日時 平成24年9月27日(木)15時~17時
2.場所 サンパル7階 ひょうご産業活性化センター ビジネスプラザホール
3.プログラム
  (1)講演1:「海外進出構想検討ガイド」

  • 当法人理事 濵田 豊機氏

  (2)講演2:「新製品開発を成功させる考え方」

  • 当方人会員 熱田 稔雄氏

4.参加者   産業人0Bネット 賛助会員6名、個人会員19名、
ひょうご産業活性化センター2名、   計27名

 
熱田稔雄氏

熱田稔雄氏

濵田豊機氏

濵田豊機氏

1.講演1::「海外進出構想検討ガイド」

           当法人理事 濵田 豊機氏

(1)主な講演内容

①講師の自己紹介

川崎重工船舶事業部で海外営業を担当して外国の船会社と付き合った。
さらに本社でプロジェクト開発、市場調査もやった。海外の経験は、韓国の現代造船2年、フイリピンでの営業指導3年がある。

本日の話は、海外進出構想の概論、一般論を皆さんが勉強するたたき台として話したい。海外進出の話は、範囲が広い。多岐に渡るので四部に分けている。本日 は、第一部の「構想検討ガイド」、次回は第二部の「計画策定ガイド」をやりたい。第三部、第四部は、コンサルタントの内容なので企業により異なる。個別企 業へのコンサルタントなので講演会では取り上げない。

②構想検討組織の立ち上げ

・社内の責任者:小企業は社長1人でやっている場合もある。若い将来性のある社長なら、自らやるべし。
・社外の協力者:業界の専門家やコンサルタント。
・予算、検討期間の確保:人件費、旅費交通費、資料収集費用、コンサルタント費用で、大雑把な見込み額を前もって見積もっておく必要がある

③理念(大義名分)

a.なぜ海外進出するのか(動機):動機をはっきりさせる取引先の要請、同業他社からの呼びかけ、新規市場を求めて、経営者の社会的使命を果たすなどの動機がある。
b.誰のためにやるのか:従業員の雇用、生活を守る、進出国の生活向上等。
c.何をするのか:商品、技術の提供。
d.どこでするのか:どの国、どの地域へ進出するのか。
e.どのようにするのか:スキームの検討、既存のやり方+その地域の特徴。資本的、人的(役員)主導権はとったほうがよい。マイノリティであれば、製品、技術をとられてしまう恐れがある。

④情報収集源    

a.国内
政府・経産省・JICA・JETORO、県・市・中小企業支援センター、駐日大使館・領事館・商工会、金融機関、取引先、在日外国企業、コンサルタント など   
b.海外
政府・経産省、現地商工会、取引先、現地金融機関、現地代理店、日系企業、日本政府出先機関(現地日本大使館、領事館)、JICA・JETORO、コンサルタントなど

⑤自社の現状分析(強みと弱み)

次の項目はきちんと評価し、現状を把握しておく必要がある。
a.主力製品、将来性(競合関係、収益性、国際比較優位性)
b.営業力、営業ネットワーク
c.生産技術力(含生産設備、技能、プロダクト)
d.製品開発力・パテント・ノウハウ(新製品、技術開発)
e.購買力(調達、検品)
f.財務評価・信用力(自己資本、借入)
g.経営力・経営者(信用力、リスクヘッジ)
h.人材・後継者

⑥国内経済の状況・動向

国内での企業の立つ位置の確認も大切である。
a.地域情報
・成長地域か衰退地域か ・自社製品の需要のばらつき ・立地条件
b.産業連関を考える
・自社の役割と製品の位置づけ ・川上か川下か ・生産財か消費財か
c.産業構造とその変化(業界の動向を中心に)
・自社製品の環境の変化 ・ 成長産業は何か、衰退産業は何か
d.企業構造とその変化
・企業組織の変化、開発力の変化、財務体質の変化

⑦海外経済の状況・動向

どの地域を選ぶかの判断に、この調査が最も重要である。
a.地域情報 
・個人所得水準  ・成長力  ・文化水準  ・立地条件
b.ナショナルリスク
・国家・政府のあり方(民主、独裁、友好国など)
・金融政策、外為規制
・パテント、ライセンス規制
・社会的インフラ
・社会情勢・治安
・友好国か、デモ・破壊行為等
・自然災害
c.その国の産業連関の変化を調査
・自社製品は川上か川下か ・生産財か消費財か 例えば技術開発(自国)、生産(現地)、販売(第三国)の組み合わせもある。
d.その国の産業構造の変化を調査 衰退産業か成長産業か
e.企業構造とその変化を調査 その国に適合した組織のあり方を考える。
⑧進出手法の絞込み
a.どの国、どの地域で実施するか
・自社製品の将来性  ・何で勝負するか(高品質、生産技術、ノウハウ、資金など)       
b.どの産業分野か
・メーカーならどの製品で進出するのか、主力製品か成長製品か衰退製品か
c.進出パターンはどれか(投資の種類)
(ⅰ)輸出ベース段階
・初期輸出、輸入
・現地海外企業との販売連携
・支店、現地法人の開設
(ⅱ)輸出では追いつかない段階
・現地海外企業との生産提携、技術提携
・現地海外企業との資本提携
・現地工場建設

⑨まとめ

a.これまで説明してきたように次の手順がきちんとできなくては、海外進出はうまくいかない。
(ⅰ)検討構想チームの立ち上げ
誰が責任者で、決断し、実行するのか。
(ⅱ)進出の理念は、はっきりしているか。
(ⅲ)現地での主導権、決定権を持つことになるのか。
(ⅳ)自社の分析により、自社の強み、弱みを把握しているか。
(ⅴ)海外進出構想のシナリオは、まとめられており明確か。

b.a.の手順で進められるが、そのほかの留意点は下記の通りである。
(ⅰ)論理的、筋の通った計画にすること。
(ⅱ)それをやり遂げる強い意思を持ち、能力を培う。若手に育成が大切。言葉の習得も重要。
(ⅲ)ある程度のリスクも覚悟する。特に資金、借金リスクがある。
(ⅳ)海外進出構想・計画は、事前に準備しておいて、チャンスがあればタイミングよく動き出す。

c.海外進出参考事例
(ⅰ)コクヨのインドでの事業
インドのノートは片側しか開けない。全部開けるノートで真ん中も書けるようにして、ヒット製品になった。
(ⅱ)キッコーマンのアメリカでの事業
これまで輸出していた醤油を現地生産に切り替え、成功した。
(ⅲ)B&W、SULZER(全世界での事業)
自社で開発、試作、完成品として成功すれば、海外の会社につくらせ、パテント料を取る。そのお金で更なる新製品を開発する。これの繰り返しで全世界での事業を拡大していった。

3.講演2:「新製品開発を成功させる考え方」

当方人会員 熱田 稔雄氏
(1)主な講演内容
   ①講師の自己紹介
    昭和38年川崎重工業に入社して、いろいろな部門で様々な新製品開発をやってきた。最後は技術研究所の所長で400人の研究員を統括し、各事業部の支援を行った。
    主な事業部と取り組んだ新製品開発は次の通り。
    a.鉄構事業部:鋼橋の騒音防止、 b.造船海洋機器部:石油掘削リグ
    c.破砕機事業部:可鍛プラント  d.溶接研究室:二重管、レーザー加工
    e.光技術研究所:液晶プロジェクターf.技術研究所:POBS、空気浮上

    本日のテーマは、「新製品開発を成功させる考え方」であるので、企業での新製品開発のしくみから入り、これまでの私の経験をお話し、社会の動き、将来のニーズをつかむこと、特許の重要性、新製品開発を成功させる心構えを最後に述べたい。

    ②組織の力、個人の力
    大企業の組織は、自社製品の完成度を高めることに全力投球する。
    企業で差別化を求めて製品の完成度を高めるために多大の努力をするが、顧客の満足度はそれほど増加しない。すなわち顧客の満足度と企業の開発努力 は一致しない。(例:デジカメの300→500万画素、新幹線300→500km/h)一般的に企業内での個人の新製品開発能力の発揮の場は多くない。い かにして個人の力を発揮させていくかが課題である。

③開発テーマの選定
a.企業は、安定経営を目指しており、本業拡大思考である。
b.従って技術も周辺技術を探り、市場も現有市場周辺の新製品を探す。

c.新製品のシーズもニーズも時間の余りかからない新技術、新製品の開発テーマの設定になる。

④成功のシナリオ
(関連図)
⑦現有技術周辺       ①プロジェクト (PM)    ⑦現有市場周辺
                 ↓
②アイデア
②会社
⑥大学・研究所・メーカー    ↓
(ナショプロ資金)      ③FS       ⑤販売機関 → ⑤顧客
 ↓
④研究開発・製品化
(シナリオ)
①プロジェクトをつくる(PMを決める) ②アイデアを会社に認めさせる
③FSを作成する  ④研究開発、製品化する  ⑤販売機関を通じて顧客に売る
⑥その間大学などと共同でナショプロ資金を獲得する
⑦新製品開発はどうしても現有技術、現有市場の周辺になる

⑤社会の動き、将来のニーズ
a.社会の動き
(ⅰ)常にヒト、モノ、エネルギー、情報の分野の分析が必要
(ⅱ)情報の分野では、TV(神、不満)、PC(インターネット、双方向の情報量の増加)、これらが、民衆の力、アラブの春、中国のデモ、原発問題、オスプレイ、政治不信などのなって現れている.。
b.新しいニーズ
創エネ、省エネ、移動体、IT分野など
c.特許戦略
(ⅰ)ものづくりでなく技術ノウハウで儲ける体質
(ⅱ)技術ノウハウだけでなく活用ノウハウで儲ける体質
(ⅲ)先回り特許、防衛特許、改良特許、周辺特許、クロスライセンス

⑥熱田氏の研究開発の事例紹介
これまでいろいろな研究開発、新製品開発に取り組んできたが、完全に成功した例は少ない。なぜ成功しなかったか、以下の事例での説明があった。
a.石油掘削リグ(Jack-Up型)、地中掘削機、ドリルビット
b.耐食二重管、耐磨耗二重管
c.液晶プロジェクター、よう素レーザー
d.空気浮上技術の応用(札幌ドームボヴァリングステージ、武道館用床転換装置
e.ソーラーコジェネ
f.沼島のおのころプロジェクト

⑦まとめ
a.PM(プロジェクトマネージャー)に要求される資質
(ⅰ)情熱、勉強、連携、感動、コントリビューション。
(ⅱ)組織は、現製品の性能アップ、コストダウンに全力投球を要求し、新製品のアイデアは望まない。
(ⅲ)従って個人で社会のニーズを直感してSerendipity(ものを見つけ出す天性の能力)を発揮する。
(ⅳ)社長に全権を与えられたつもりで全てに対処する。

b.新製品を開発するために留意する心構え
(ⅰ)社会の変化に目を向ける。
(ⅱ)自分自身のアイデアを徹底的に追及する。
(ⅲ)必要な技術を勉強する。
(ⅳ)まわり人、組織との連携に努力する。
(ⅴ)特許対策を大切にする。

c.今後新製品開発の可能性・アイデアのある分野
(ⅰ)エネルギー:創エネ、省エネ
(ⅱ)移動体:小型EV(アシスト、トロリー)
(ⅲ)IT:入力装置(グリッド式、タッチパネル、音声、口の動き、手話)
(ⅳ)機能複合:掃除ロボ、ルンバ、(留守番、介護、癒し機能)
(ⅴ)軽量安価:ホームドア、車椅子
(ⅵ)アップグレイドメンテナンス:もとの機能を向上させることで需要喚起
(ⅶ)夢のあるもの:ソーラーシステム、淡水化、地球オイル等

以上
(久留島 正)