講演会「放射線被爆の不安にいかに対処するか」の記録

平成24年度第1回NPO法人産業人OBネット主催講演会

  下記の通り講演会を開催しました。その要旨の報告です。

1.演 題:『放射線被曝の不安にいかに対処するか』―遺伝カウンセリングの立場からー
2.講 師:千代豪昭(ちよ ひであき)氏 日本遺伝カウンセリング学会理事
3.日 時:平成24年9月20日(木)15:00~17:00
4.場 所:川重神戸サポート海友館新館

千代豪昭

千代豪昭

6.内 容

 ①東日本大震災の後、実際に体験された「南相馬市における被曝カウンセリング」の紹介
   放射線被曝の不安を持たれる被災者の方々に何かできることはないか、可能な支援を実行
  することの重要性を認識するとともに、日々何か貢献できることは無いかの思いから、震災
  の6か月後に自家用のキャンピングカーで自宅の西宮から南相馬市に入りカウンセリングの
  活動を行われたとのこと。現在もときどき赴いて活動をしている。
  被曝カウンセリングの目的は、被曝不安により日常生活に支障をきたしている被災者が通常
  の日常生活に復帰できるように支援することである。
  その時に一番心がけたことは、被災された方々とどのように向き合っていくかということで、
  苦心した。
  また、震災後帰宅を決意したご夫婦の決意に至る事例紹介があった。
 ②日本人の被曝に対する不安の原点は、広島・長崎にある。
  当時、人体への被曝の影響は「染色体」から被曝線量を測定する方法だったが測定は困難
  であった。
 ③我々は日常生活で放射線を浴びている。
  宇宙空間・太陽のエネルギー等の放射線が地上に降り注いでいる。
  また、地球の内部も放射線に満ちている。自然被曝量が関東より関西がやや高いと云われ
  ている。温泉地などは高めである。
 ④放射線ホルミシス効果
  ラジウム温泉やラドン温泉など、実際には健康に影響を与えるほどの放射線は出ていない
  ことが分かっており、微量の放射線が良いと考える人もいる。
 ⑤放射線の発見から健康障害の認識
  1895年レントゲンによるX線の発見からエジソンによるX線発生装置の開発等の過程で
  放射線使用による健康被害が取りざたされた。
 ⑥放射線防護の国際的取組み
   ・ICRP:国際放射線防護委員会(放射線防護を目的とした委員会)
   ・BEIR:電離放射線の生物学的効果に関する委員会(放射線の生物に対する影響を
         研究する委員会)
  これらの委員会の勧告などによって放射線に関する現実的な対応が図られている。
 ⑦核分裂と連鎖反応
  1ベクレル(Bq)=1秒間に崩壊する原子核の数
 ⑧被曝カウンセリングで用いる小道具の例
   ・喫煙や過度の飲酒は年間2000mSvとの被曝線量と同程度の「がん」障害リスク
    がある。
   ・いとこ婚は先天異常の発生率を増加させ、低線量被曝の効果より大きくなる。
   ・温泉法では、人体が放射する自然放射線レベル(100Bq/kg)以上でないと
   「弱放射能線」と表示できない。
   ・1年間1mSvの被曝量にこだわるとNYでは子育て出来ない。
 ⑨発がん(致死性)生涯リスクと被曝線量
   ・野菜不足⇒100mSv(発がん性リスク1.05倍に増加に相当)
   ・塩分採り過ぎ⇒200mSvと同程度の「がん」増加率に相当
   ・運動不足・肥満⇒400mSvと同程度の「がん」増加率に相当

     以 上